日本で販売されている一般的な乗用車向けガソリンには、レギュラーガソリン(以下レギュラー)と、プレミアムガソリンなどとも呼ぶハイオクガソリン(以下ハイオク)の2種類がある。
両者の主な違いは、オクタン価(ガソリンエンジンにおけるノッキングの起こりにくさを示す値)の差や、洗浄剤などの配合具合などである。
オクタン価について、日本ではレギュラーはオクタン価90前後が一般的で、ハイオクは日本工業規格(JIS)でオクタン価96以上と規定されている。
エコの観点からすると、レギュラーはたんに単価が安いという点では、コストを低く抑えられると感じるところだが、実際にはレギュラーが性能面でエコに寄与する要素はなく、むしろ逆といえる部分が大きい。
よく取り沙汰されることに、「ハイオク仕様車にレギュラーを入れても大丈夫か」というお題があるが、答えは以下のとおり。
ハイオク仕様車が、あえてハイオク仕様としているのには相応の理由があり、ハイオクの使用を前提に性能を引き出している。そこにレギュラーを入れると、ノッキングなど不具合が生じる可能性が高まる。
ただし、自動車メーカーでは、ハイオク仕様車へのレギュラーの使用も想定し、レギュラーを入れた際に起こるノッキングを検知すると、エンジンの燃調や点火時期を司るコンピュータ(ECU)が、レギュラーに対応したマップへ自動的に切り替わる。
このとき、点火時期を遅らせるためパワーダウンする上、ノッキングによるエンジンの過熱を防ぐため、ガソリンを多く噴射するので燃料消費も増える。
つまり、出力も燃費も確実に低下することになる。ちなみに、ECUのマップは、レギュラーへの対応は比較的瞬時に切り替わるが、逆にレギュラーのあとで再びハイオクを注入しても、ハイオク対応のマップに切り替わるには、やや時間を要するケースが多い。
また、ハイオク仕様車にレギュラーを使用したときに、即座に故障に至ることはないにしても、ノッキングの起こる頻度は少なからず増え、長期的に見ると故障が生じる可能性は高まるといえる。
さらには、その故障がレギュラーの常用によることが判明した場合には、保証の対象外となることもある。これらのことから、ハイオク仕様車にレギュラーを使用することは、控えたほうが無難といえるだろう。
ただし、近年ではECUの補正能力が向上し、ハイオク仕様車にレギュラーを使用しても問題ないとする主張もある。また、たとえば2008年春のRX-8のマイナーチェンジの広報資料に、「レギュラーガソリンへの適合性の改善」と記されていたように、ハイオク仕様車ながらレギュラーも問題なく使えることをアピールする車種も出てきており、上記の限りではなくなってきている。
集計期間:2021年3月1日~2021年3月8日