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EV特集第二弾「実は世界最大のEV大国は中国!?」/木野龍逸 (2/2)

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木野龍逸
中国の移動手段の中心になりつつある電動自転車

中国の移動手段の中心になりつつある電動自転車

ところで電動自転車は、州や都市によって扱いが違う。上海は基本的にOKだが、北京はオリンピック前、一時的に禁止したことがあった。危ないからというのが大きな理由だった。けれども北京も、オリンピックが終わった今は解禁になっているらしい。

これが地方都市に行くと、決まり事のカケラも見えない。上海から汽車にゆられて十数時間ほど西に行ったとある小都市では、いわゆる自動車以外、動くものはすべて電動に思えるほど、電化が進んでいたように見えた。自転車に限らず、リヤカー、三輪の小さな貨物車など、とりあえずモーターと電池を載せて電気自動車にしていた。試しに数えたら、50台中37台が電気駆動だった。

技術的には非常にシンプルなものだけど、彼らの生活水準、技術水準にはピタリと合っている。ガソリンよりは電気の方が安いし、充電は家でできる。ガソリンエンジンじゃあ、数が少ないガソリンスタンドまで往復するだけで燃料を食ってしまう。だから電気がいいのさ、という話を地方の中国人に聞いたわけではないが(そもそも僕は中国語なんて話せないし)、現地に駐在している日本人や大都市の中国人らは、そんなことを話していた。そして異口同音にこう言う。「すごく便利なんだよ」。

もちろん、ガソリンエンジンに比べれば、電動自転車の航続距離は短い。電池だって鉛が多いから、寿命も長くない。それでも彼らは「だからなんだっていうんだ?」と思っている。航続距離が短いといっても30キロくらいは走るし、事前に走る距離を考えればいい。電池は交換すればいい(ちょっと高いけど)。そんなことは自分が工夫すればいい話で、彼らが享受できる便利さをスポイルするものじゃない。だから電動自転車は、大都市でも地方の田舎でも、移動手段の中心になりつつある。

日本ではEVが注目を集めているが、東京で道を自由に走っているEVを見かけることは、まずない。それに比べると、中国は間違いなくEV大国だ。そしてEVに対する偏見のようなものがないだけ、EVの性能が上がれば上がるほど、ごく自然に交通の中に取り込まれていくかもしれない。中国の電動自転車にはその可能性が、わずかではあるが、見えているように感じる。無秩序や混沌の中から生まれる新しい文化は、あると思うのだ。


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