ビッグ3の中でも、とくに高性能エンジンや個性的デザインを持つ大型車のイメージが強く、エコに対する取り組みの印象の薄かったクライスラーだが、近年では環境対策能力の向上にも力を入れている。その中心となっているのがEV(電気自動車)だ。
すでにクライスラーでは、既存のパワーユニットを生かしたハイブリッドカーを開発し市販化。ミドルサイズSUVの「ダッジ・デュランゴ」「クライスラー・アスペン」といった重量級モデルのハイブリッドカーが、いずれも2009年モデルより米国市場に投入されている。
これのために新開発されたハイブリッドシステムは、400 ps(約298kW)の最高出力を誇る5.7 L V8 HEMIエンジンと組み合わされ、40 %以上の燃費の向上を実現。重量級モデルにおける環境性能向上という難しい命題において、HEMIエンジンと協調することで将来に向けての新たなビジョンを提案した、注目すべき存在である。
さらに、2009年2月にクライスラーが米国財務省に提出した長期事業存続計画において、近い将来のEVを中心とするエコカーの量産計画が具体的に記されている。
クライスラーでは2008年、EVに関する開発を行なうためのENVI部門(環境「environmental」の頭から4文字を取った名称)を組織した。そこでは100%電気駆動のEVや、レンジエクステンダー(航続距離延長装置)を搭載したEVの開発などを鋭意進めている。
レンジエクステンダーというのは、バッテリーを充電するための小型エンジンのこと。つまり、レンジエクステンダー付きEVというのは、シリーズ方式のハイブリッドカーの一種といえる。クライスラーはこれらを早期に普及させることで、地球環境への意識の高いユーザーをはじめとする個人のモビリティに革命を起こそうと考えているのだ。
同プロジェクトでは、2008年9月に発表した、3ブランドから各1モデルのEVのプロトタイプ「ジープ・ラングラー アンリミテッドEV」「クライスラー・タウン&カントリーEV」「ダッジ・サーキットEV」により、一気に現実味を帯びた。
さらに2009年1月のデトロイトショーでは、前記3モデルに加えて、「クライスラー200C EV」「ジープ・パトリオットEV」の2モデルを発表した。
このうち、ダッジ・サーキット EV は、100%電気で走行するスポーツカーであり、ガソリンをまったく消費しない。排出ガスゼロのまま、約240~320 km(150~200 マイル)を走行することができる。しかも、0-60mph(96km)加速は5秒未満、最高速度は120mph(約193km/h)以上と高性能を誇る。
残りの4モデルは、モーターの出力やエンジンの発電量が異なるものの、航続距離は同じ。フル充電したリチウムイオン2次電池の電力のみで64km(40マイル)まで走行可能。さらにエンジンで発電することにより、航続距離は最大640km(約400マイル)にもなるという。
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